
Salesforce
2026.6.3
AI時代に設計者の価値を再発見した話

AIと一緒に設計して初めて分かった、要件定義と設計の難しさ
最近、初めてAIを使って設計をした簡単なシステムを実装してみた。
これまでは、設計をするよりも、自分で考えて実装し、トライアンドエラーを繰り返しながら形にしていくことが多かった。
しかし今回は練習も兼ねて、まずAIに設計をさせ、その設計に従って実装してみた。
実装を進める中で、
「ここはこうじゃないか?」
「そこはああじゃないか?」
という疑問が次々に浮かんだ。
そのたびにAIへ相談し、設計書を修正してもらいながら開発を進めた。
すると、設計書を修正する過程で、初めて設計の大切さを実感することになった。
AIは優秀な設計パートナーだった
AIは人間の上司や先輩のように感情的になることもない。
こちらの意図をできる限り汲み取りながら設計を提案してくれる。
もちろん、たまに不自然な設計になることもある。
しかし振り返ってみると、それはAIが悪いのではなく、自分の指示や前提条件が曖昧だった場合がほとんどだった。
AIは与えられた条件をもとに設計しているだけである。
特に初歩レベルの開発では、本当に良い相棒だと感じた。
自分のシステムだからこそ見えたもの
お客様のシステムを設計する機会はこれまでもあった。
しかし、お客様先での設計には様々な制約がある。
既存システムとの整合性、チームの開発ルール、設計書フォーマット、レビュー基準など、多くの前提条件の中で作業を進めることになる。
そのため、どうしても「決められた手順の中で設計する」という感覚になりやすい。
一方、自分のシステムは違う。
何を作るか。
どう作るか。
どこまで作るか。
全てを自分で決めなければならない。
その結果、普段は見えていなかった課題や発見に数多く出会うことができた。
要件定義は思った以上に難しい
今回最も大きな発見だったのは、要件定義の難しさだった。
私はこれまで要件定義をあまり得意としているとは思っていなかった。
しかし、自分が本当に欲しいシステムを作ろうとした時、自分自身の要望を言語化することが非常に難しいことに気付いた。
頭の中にはイメージがある。
しかし、そのイメージを言葉にすることができない。
さらに厄介なのは、システムが完成していないため、自分自身も完成形を正確には見えていないことである。
作りながら、
「あ、こういう機能も欲しい」
「いや、やっぱりこれは不要だ」
という発見が繰り返し発生する。
そこで初めて気付いた。
エンドユーザーも同じなのだ。
ユーザーは要件を言わないのではない。
言いたくても、まだ存在していないものを具体的に説明することが難しいのである。
この体験によって、要件定義の場面でユーザーが悩む理由を以前より理解できるようになった。
基本設計と詳細設計の違いも理解できた
今回の開発では、基本設計と詳細設計の違いについても改めて理解することができた。
基本設計は、
「何を作るのか」
を決める作業である。
画面構成やデータ構造、業務の流れなど、システム全体の骨格を定義する。
一方、詳細設計は、
「どう作るのか」
を決める作業である。
実際の設定手順や実装方法、項目定義、処理手順などを具体化していく。
ITの現場では最近は、基本設計から直接実装をすることが多くなり、詳細設計書の存在が薄れてきています。
しかし、Salesforceのようなノーコード実装の場合、手順書があった方が作業が安定して進むようになる。
私は、知っているので、いきなり作ることもできるが、知らないもしくは初心者の実装者では、有るか無しかは生産性に直結しますね。
これまでは頭では理解していたつもりだったが、自分自身で設計から実装まで経験したことで、その違いを実感として理解できた。
AI時代だからこそ設計が重要になる
今回の経験を通じて感じたのは、AI時代になったからこそ設計の重要性が増しているということだ。
実装そのものはAIがかなり支援してくれる。
しかし、
何を作るのか。
なぜ作るのか。
どのような形にするのか。
そこを決めるのは人間である。
AIは優秀な設計パートナーになれる。
しかし、AIに良い設計をしてもらうためには、自分自身が考え、質問し、修正し続ける必要がある。
今回の小さなシステム開発は、システムそのものよりも、要件定義・設計・実装の本質を学ぶ良い経験になった。